池袋駅からほど近い「ニシイケバレイ」にて行われたフリーマーケット・トークセッションなどを含むイベントの会場構成を行った.
出店者たちが何をもってきて,どのような什器をもちいるかといった内容はほぼ予測不能だった.そこで,この場所がもともと長いこと駐車場であった歴史も引き受けて,駐車場用路面ペイントで地面に「補助線」を引いてみることにした.
駐車場は面白い.壁があるわけでもないのに人々と車は路面の線に従って曲がったり,位置を決めたりする.記号的なルールと物理的な建築の中間のような存在だ.
今回デザインした「変な駐車場」は,それに加えて人々の「誤読」にも期待する.
単に領域を区切ったように見せたくなかったため,線と空隙とが1:1の破線とすることを全体の統一事項とした.会場奥へと誘導する矢印も意味決定的な線ではなく,散漫なものにした.破線をなす長方形は10:20,10:30,10:50と3種類の比率をない混ぜにし,違和感をあたえた.
線に従うことと線からはみ出すこと,読譜と即興は逆の所作であるようでいて,根源的には同じものであるように思う.線に従うとき設計者(作曲者)の切実さが,線をはみ出すときは利用者(演奏者)の切実さが前面化する.単なる路面ペイントでありながら,このようなコミュニケーションを可視化するには十分なインターフェースを作ることができた.
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